ことの発端は2023年9月下旬。
欧州野球選手権が開催されているチェコ・オストラヴァ市の野球チーム、アローズ・オストラヴァの球場、アローズパークを訪れた際にアローズの球団会長に声を掛けられる。
アローズ・オストラヴァには前回のWBCの侍ジャパン戦で先発し、あの大谷翔平選手から三振を奪った日本一有名なチェコ人選手、オンジェイ・サトリア投手も所属。
尚、それまで私は球団会長とは面識無し。
「オストラヴァ市と大阪市が姉妹都市になる。オストラヴァにあるチェコ日本文化センターが大阪市との窓口を担っており、スポーツ分野の交流としてうちのチームと大阪市の野球チームの提携も目指している」
この時、正直大阪市がオストラヴァ市を相手にするのか?と半信半疑でした。
翌日球場でチェコ日本文化センターのクドラ所長と会うが、彼らは全く野球の知識がない。チェコ語もでき、チェコ野球に精通している私に、どこか提携出来るチームを探してくれと言う要望でした。その時は「阪神タイガースは可能?」と言われるが苦笑いしたのを覚えています。第一阪神タイガースは西宮市だし、提携するとなるとオリックス。しかし、NPBの球団がチェコのクラブと提携するとは思えない。あの千葉ロッテマリーンズ球団でさえ、チェコ野球協会と提携。やはりまずは社会人野球チームか?
チェコ野球にはコネが出来ていたが、日本の野球チームに全くつてが無い私はWBCの際にチェコ代表を手伝い、大会後日本チェコ協会で講演をしてくれた田久保賢植氏にチーム探しを依頼する。田久保氏は某名門社会人チームに連絡してくれたが相手からの回答は「興味無し」。話し合いにも応じる気がなかった。
ここで田久保氏経由でのチーム探しは諦め、自分で探すことに。検索するとクラブチームが色々と出てきた。その中の大阪市に本部がある履正社国際医療スポーツ専門学校にメールをしてみる。そしたら早めに回答が来て、担当者に繋いでくれると。そこからトントンと話が進み、チェコ日本文化センターのチェコ人らが訪日する11月半ばに同校の箕面校舎に挨拶に行くことになり、そして訪問当日、提携に関して土井監督から快諾を頂く。
翌年、2024年1月に私がオストラヴァ市を訪問した際に、アローズの幹部やサトリア投手に11月の報告をする。そこで今後の動きを確認する。
チェコ代表が名古屋のバンテリンドームで侍ジャパンと対戦した翌日、帰国前日に1日フリーの日があると知り、アローズ球団と履正社国際医療スポーツ専門学校にアローズ所属の代表選手が同校を表敬訪問できないか打診。
球団も学校もOKとなり、11月11日、チェコ代表として来日中のサトリア投手のほか、ヤン・トメク投手、ヤクブ・クビツァ内野手をお連れして朝7時に宿泊先の名古屋のホテルを出発。地下鉄で名古屋駅に出て、新幹線のホームでサトリア投手がメディア一社の取材を受ける。東海道新幹線で新大阪に移動し、地下鉄御堂筋線に乗り換え、乗り入れの北大阪急行の終点、箕面萱野駅に到着。訪問時間まで時間があり、且つ朝ごはんを食べていないので駅近くのパン屋さんで朝食。日本の菓子パンを非常に美味しく食べていました。その後タクシーで移動し、学校に到着。
校門では早く着いたのにも関わらず担当の中村さんが待っていてくれてまずは校舎内に案内され、土井監督に選手らを紹介。お土産のアローズのキャップとTシャツ何組かを渡し、逆に履正社のウェア等をお礼に頂く。頂いたウェア、特にジャンパーを選手らは気にいりました。
その後グラウンドに移動し、コーチや学生選手らと対面。練習見学どころか練習にも参加し、質疑応答、そして記念写真を撮り、2時間ほどの滞在で学校を後にしました。
尚、私の役目は写真撮影と通訳。
その後選手の希望で京都に寄り、金閣寺、竹林の小径と天龍寺を訪問して、京都駅から新幹線で帰名。ここでも全国通訳案内士の資格を持つ私もお力になれました。
前日の試合からホテルに戻ったのが零時ごろ、そして朝早くからの移動を忘れるくらい選手らは満足な一日になったみたいで、非常に実りのある表敬訪問となりました。
帰り道何度も選手らからお礼を言われました。
翌日アローズの球団幹部に報告し、立て替えていた交通費の清算を申請したら即入金されました。球団会長からもお礼を言われ、今後の展開も進めることに。
履正社国際医療スポーツ専門学校さんのブログにも表敬訪問が掲載。
尚、メディアにも取り上げられております。
今後も提携に協力していきます。来年は大阪万博にオストラヴァ市も出展するそうで、アローズの来阪、履正社さんとの親善試合構想がございます。
これで日本チェコ協会がチェコ野球に於いてのプレゼンスが更に深まったとも言えます。
執筆=合田哲郎(日本チェコ協会副会長代行・日本チェコ協会/日本スロバキア協会法人会員・チェコ野球協会公認通訳・ガイド)
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