4月の知ろう会「チェコと野球」講演報告
3月はWBCで盛り上がった日本。日本のプールBには韓国、中国、オーストラリアの他に今回初参加のチェコも参戦!その初出場のチェコは日本戦をきっかけに日本で大きく取り上げられることとなり、中国に勝利し2026年のWBC出場権をゲット。これだけチェコが取り上げられることはなく、WBCが終わってもまだSNSだけではなく、日本のメディアでも取り上げられております。
そのWBCチェコ代表をサポートしたのが田久保賢植さん。田久保さんは2012年にチェコ野球リーグ、エクストラリーグ初の日本人プロ選手となり、その経験と幅広いネットワークでチェコ野球協会よりお手伝いを打診されました。3月2日の宮崎事前合宿初日からプールB終了までチームに帯同。チームの首脳陣の信頼が厚かっただけではなく、選手からはお兄さんという扱いでした。その田久保さんからの打診で当協会の理事でありプラハ分室長でもある私もボランティアで宮崎事前合宿に参加。彼の推挙で在京テレビ局の取材班が行うインタビューではチェコ語/日本語の通訳も担当しました。
大会期間中から田久保さんがマスコミの取材を受けることが多くなりましたが、いろいろな制約で彼の発言は編集されたりカットされたりしました。そこで日本チェコ協会主催の知ろう会に講師として来て頂いて、お話をしてくれるのはどうかなと思い、山崎会長に打診しました。
山崎会長ほか理事の方は最初「田久保?」でしたが、プロフィールを紹介すると「あの大使館のパーティーにおられた方!」となり、皆さま全員賛同してくれることに。田久保さんに打診すると快諾して頂き、日程もWBC熱が冷めないうちということで4月16日に決まりました。
3月22日にまず協会員に知ろう会「チェコと野球」のお知らせが事務局より送信。定員は27名。会場のレンタル代と講師への謝礼を含めると18名揃わないと赤字。しかし、私は即埋まると思いました。これには事務局の大野さんも同意見。参加費は1000円、今一番話題のWBCチェコ代表に関して一番話せる田久保さんが講師。そして場所は原宿駅から徒歩数分。予想通り、協会員から応募のメールが数時間以内に届きだしました。
しかし、今回の知ろう会はできれば多くの非協会員に来て欲しい。知ろう会を通じて日本チェコ協会を知って頂き、これを機に入会してくれる人に来て欲しい。周りの友人を勧誘すると皆口を揃えて言うのが「入会するメリットはあるんですか?」。特にコロナ期間はイベントが激減し、メリットは減ったと思います。(因みに私はコロナ期間中の2020年12月に入会!)
1週間後の3月29日に非協会員にも告知。HP及びFBでの告知ですが、田久保さんがご友人にお声掛けをして頂き、どんどん予約が入りました。結局キャンセル及び当日不参加の3名が出ましたが、当日お申し込みの非協会員さんが1名ご参加してくれて24名の参加。はい、黒字です。
会場は椅子の数と広さでこれが限界でした。受付は会費をしっかり払った法人会員Re.mの岩佐さんと山崎会長がご担当。椅子のセットアップ等も早くから来てくれた協会員の大橋さんや大野ご夫妻らにも手伝って頂きました。因みに会場はJR原宿駅から竹下通りに入ってすぐの右手のビルの3階。目の前は若者と外国人観光客だらけ。山崎会長の本当に短い挨拶、田久保さんの紹介を経て、講演会スタート。司会進行は私が担当。田久保さんの口から飛び出す数々の衝撃的発言(ハディム監督は2026年のWBCに出場するのを当初目標にしており選手を選んだ)に驚く参加者。講演は14時15分にスタートしました。15時半前に田久保さんが呼んでくれたWBCチェコ代表のヤン・ノヴァーク投手がたまたま当日竹下通りに遊びに来ており、飛び入りでサプライズゲストとして登場!ノヴァーク投手への質問タイムもあり、最後は参加者とノヴァーク投手の撮影会!あっと言う間に退室の16時に迫り、追い出すように知ろう会は終了。大盛況で終わりました。
ここではトークショーの一部を抜粋。
田久保さん「宮崎事前合宿の球場代が298万円安くなりました」
田久保さん「オストラバの球場は素晴らしいですし、可愛い子が沢山いました」
ノヴァーク投手「NPBでプレイしたいです」
ヤン・ノヴァーク(Jan Novak) 背番号34
MLBのボルチモア・オリオールズと契約したことがある左腕投手。2021年にはチェコリーグで無双の15勝負けなしの防御率1.38を記録。2022年シーズンは肘の故障でシーズンの大半を棒に振る。WBCでは韓国戦に三番手で登板し、無失点に抑える。
好きなアニメ=HUNTER X HUNTER
投稿=合田哲郎(ごうだてつろう。日本チェコ協会理事‐HP担当。日本チェコ協会プラハ分室長)
追記
田久保さんの講演内容は盛りだ くさんでしたが、その一部を以下に 補足します。
「 2012 年に知人を介してオファーがあり、チェコに行った。最初はチェコ・リーグのブルノの選手として入った。世界情勢のこともチェコのこともそれまで知らなかった。」
「今回の WBC では 3 月 5 日からの公式合宿に先立つ宿泊先の手配などでチェコ側からお
手伝いの要請があり、引き受けた。ふだんは 巨人やソフトバンク が使う宮崎のホテルの手配などは(宿泊費の問題をはじめ、受け入れ先の認識不足もあり、折衝にたいへんなご苦労があったそうですが)、恩返しができるかなと思って」
「女子はソフトボールが強い。野球はまだない。日本が働きかけを起こせば、(女子チーム結成へと)動くかもしれない。日本にはここで主導すべき役割がある」
「 チームの主力ピッチャーは 3 人くらいいる。ピッチャーは 、 平均球速150キロくらいは投げる。 だから、チェコのバッターも(そのくらいの球速に)慣れてくる」
「2012年当時を振り返ると、サッカーのグランドをそのまま球場にした感じだった。芝が柔らかく、怪我はしない。土もいい。原っぱとは違う」
「チームにはクラブハウスがあり、試合後もファンと交流の場がある」
「欧州ではオランダとイタリアが強い。(そのあとスペイン、ドイツ、英国が続く)チェコとしては、上位2カ国をやっつけないと上に上がれない。そこで頭を使い、知恵を絞る。米国にも送り出送り出す。パワー・ベースボールがマッチングして、うまく融合し、いまのチェコ・リーグがある」
「チェコはアメリカナイズされたというのではなく、ちゃんと独自のカルチャーを守っているという印象がある。東京ドームを目指すことがなければ、ここまでバズることもなかった」
「不自由、不具合(の環境)でやっているからこそ、技術が高まる。合理化されるのは、人間にとってはよくない」
「チェコの人口は1千万人くらい。野球人口は11万人くらいだ」
「(チェコ・チームは)野球という文化を知っている人たちに観てもらえるのは、光栄以外のなにものでもない、という受け止め方をしている。」
「日本でコーチをしたい、プレイしたい、と希望する人もいる。だが、日本に問題がある。受け入れが難しいのだ」
文責=山崎博康(日本チェコ協会会長)
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